経営お役立ちコラム

2019.11.04 【会社経営】

Q.取締役を解任したときに会社がその者から損害賠償請求を受けることはありますか。

弁護士 松浦 聡

ご利用にあたって
  • 中小企業向けアプリ「ポケ弁」にて配信した執筆時点のものであり、記事内容およびリンクについてはその後の法改正などは反映しておりません。
  • 執筆者個人の責任で発表するものであり、東京弁護士会としての見解を示すものではありません。
  • 個別事例に関する法的なアドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、東京弁護士会中小企業法律センターにお問い合わせください。

執筆日:2016/7/14

A.取締役は、いつでも株主総会の決議によって解任することができますが(会社法339条1項)、その反面、取締役の任期に対する期待を保護するため、解任された者は、解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対して、解任によって生じた損害の賠償を請求することができます(会社法339条2項)。

正当な理由とは。

正当な理由としては、取締役の職務遂行上の法定・定款違反、心身の故障(最判昭和57・1・21集民135号77頁)、職務への著しい不適任(東京高判昭和58・4・28)などが挙げられ、経営判断の失敗については議論がありケースごとに判断されることになります。

また、損害の範囲は、取締役が解任されなければ得られた利益の額とされており(大阪高判昭和56・1・30)、具体的には、残存任期の役員報酬と、定款の定め等により支払いを受けられた可能性の高い役員賞与、退職慰労金が考えられますが、慰謝料については含まれないと解するのが通説です。