経営お役立ちコラム

2020.02.13 【知的財産】

中小企業が特許をとるメリット

弁護士 松原 正和

ご利用にあたって
  • 中小企業向けアプリ「ポケ弁」にて配信した執筆時点のものであり、記事内容およびリンクについてはその後の法改正などは反映しておりません。
  • 執筆者個人の責任で発表するものであり、東京弁護士会としての見解を示すものではありません。
  • 個別事例に関する法的なアドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、東京弁護士会中小企業法律センターにお問い合わせください。

執筆日:2016/9/12

特許は、非常に特殊な発明・技術にだけ認められるもので、自分には関係ないもの、といったイメージがありませんか。また、特許出願には費用がかかるが、その結果どのようなメリットがあるのかよくわからない、という声も聞きます。そこでここでは、中小企業が特許をとるメリットについてご説明します。

特許の効力

特許を持っている人だけが、その発明・技術を使うことができます。さらに、他の企業があなたの特許に関する発明・技術を使っていたら、差止めを求めたり、損害賠償を求めることができます。そのため、あなたが持っている特許と同じことを、他社は実施することができなくなります。その結果、あなたが特許を使って行っているビジネスについて、他社の参入を困難にさせる、という効果を生みます。

また、あなたの持つ特許は、あなたの意志で他社に売却することができます。他社にとって重要な特許(つまり他社のビジネスにとって邪魔な特許)であれば、高い金額で売却できる可能性もあります。さらに、特許の賃貸(ライセンスまたは実施許諾といいます。)をすることもできますので、これにより収入を得ることもできます。

信用力・交渉力

特許は、特許庁に登録され、特許番号が付与され、その情報は公開されます。これにより、あなたの技術は特許による裏付けがあることを、他人に対して証明することができ、その結果、信用を得ることができます。

特許を持っていることは、投資または融資を受ける際、ベンチャーキャピタルや銀行に対して、自社の価値を具体的に説明するための重要な根拠になります。また、消費者に対しては、特許により商品の価値をよりわかりやすく説明できます。加えて、取引先に対しては技術力のアピールになります。

まとめ

このようなメリットのある特許ですが、ただ取得すればいいというものではありません。費用もかかりますので、あなたの持っている技術、あなたの行っているビジネスに合わせて、効果的な特許を取得する必要があります。また、他社があなたのビジネスに参入してこないよう、なるべく広くかつ抜け穴の少ない特許を取得する必要もあります。このように、どのように特許(知的財産)を活用するか、という考え方が、「知財戦略」です。

特許をはじめとした知的財産は、あなたのビジネスを強化する要素になります。事業戦略の一環として、知財戦略についても検討されることをお勧めします。