経営お役立ちコラム

2020.06.01 【契約】

中小事業者等への「しわ寄せ」問題等に関する
Q&A集
クライアントとの間で秘密保持契約を締結する場合の留意点・ポイント

弁護士 荏畑 龍太郎

Q
クライアントから秘密保持契約書の締結を求められましたが、サインしてしまうとどんな義務があるのでしょうか?
A
相手方から提供され、秘密保持契約の対象となる情報を第三者に開示、漏洩してはいけない義務を負います。
なお、「秘密保持契約」は、「守秘義務契約」、「NDA」(英語の「Non-Disclosure Agreement」の略語)等と呼ばれることもあります。
Q
秘密保持契約の対象となる情報は何ですか?
A
秘密保持契約の対象となる情報は通常、契約書に定義されています。対象となる情報が、自分が主として開示する情報なのか、それとも、主として相手方が開示する情報なのか、双方ともに開示する情報があるのか、検討しておく必要があります。
Q
こちらは主として情報を受ける側ですが、注意すべき点はありますか?
A
対象となる情報の範囲をなるべく限定した方がよいでしょう。例えば、対象となる情報を予め「機密」と表示あるいは合意してある文書のみに限定してもらうよう交渉することが考えられます。
Q
こちらは主として情報を開示する側ですが、注意すべき点はありますか?
A
なるべく秘密保持の対象となる情報の範囲を広くしておくよう留意すべきでしょう。例えば、「開示された業務上の情報の一切を対象情報とする」等の規定になるよう交渉することが考えられます。
Q
秘密保持義務はいつまで負わなければいけませんか?
A
契約で期間を定めていればその期間、期間が定めていない場合には公に知られた情報になる等、秘密情報から除外された情報になるまで秘密保持義務を負うことになります。こうした場合、特に自分が情報の受領側のときには負担が大きくなりますので、契約終了後または情報受領から一定期間に限定するよう交渉する必要があります。
Q
契約締結前や取引中には秘密保持契約の締結をしませんでしたが、契約終了後、クライアントから、秘密保持契約の締結を要請されました。応じなければならないのでしょうか。
A
原則として応じる必要はありませんが、クライアントとの関係で応じざるを得ない場合には契約期間中に既に対象情報を開示していた場合の取り扱いについても確認し、現実的な対処が難しい内容の合意をしないよう注意すべきです。
なお、秘密保持契約を締結しなかったとしても、相手方から受領した情報を不正に利用して相手方に損害を生じさせた場合には損害賠償責任を負うことがあります。