経営お役立ちコラム

2021.02.26 【契約】

中小事業者等への「しわ寄せ」問題等に関する
Q&A集
契約終了後、クライアントと同種のビジネスを行っていたところ、クライアントから当該ビジネスの中止と損害賠償を求める書面が届いた場合における対応方針

弁護士 荏畑 龍太郎

Q
契約終了後、クライアントと同種のビジネスを行っていたら、クライアントから当該ビジネスの中止と損害賠償を求める書面が届きました。どうすればよいでしょうか。
A
書面に書かれている内容について、事実関係を確認の上、対応を検討する必要があります。
Q
では、対応を検討するにあたって、どのような点に留意すべきなのでしょうか。
A
クライアントから当該ビジネスの中止と損害賠償を求める書面が届いた場合、まず、書面の種類から当該クライアントの意向が推測できる場合があります。
まず、書面の種類としては、大きく分けて、内容証明郵便で届く場合と、それ以外の郵便(普通、速達、書留等)で届く場合があります。内容証明郵便は、郵便局がその内容で書面が差し出されたことを証明するものであり、相手方は、その後の訴訟等で当該書面を証拠とすることを視野に入れている可能性があり、書面としての警告のレベルは、それ以外の郵便の場合に比べて高いものとなる傾向があります。
また、書面の差出人の肩書について、クライアントが会社組織であれば、代表取締役名義で出されたものと、代理人弁護士名義で出されたものとに分けられます。このうち、代理人弁護士名義で書かれたものは、弁護士を代理人として選任し、通常、当該事案について弁護士と請求の実現可能性や方法について検証を経ていることから、クライアントの警告のレベルはより高い可能性があります。
Q
事実関係の確認に当たって、どのような点に注意すればいいでしょうか。
A
書面を受領した場合にまずすべきことは、クライアントの主張が本当に正しいのかの事実確認です。クライアントの主張が単なる言いがかりなのか、気づかないうちにクライアントと事前に合意した契約上の競業避止義務等に違反しているのか、それによって今後の対応は大きく変わります。
例えば、クライアントと同種のビジネスが、競業避止義務に違反しているかどうか、あるいは同種のビジネスを行うことにより、クライアントの特許権等の知的財産権を侵害しているかどうかを検討することになりますが、自分だけで検討するのは困難となるのが通常であるため、この段階で弁護士等の専門家の意見を聞き、対応策を検討するのが望ましいでしょう。
Q
対応の検討に当たって、どのような点に注意すればいいでしょうか。
A
書面に返答期限が設けられている場合には、期限までに返答することを考える必要があります。ただし、返答期限までに上記の事実確認が終わらない場合も考えられるため、まずは、書面の内容を検討中であるので、しばらく待ってほしいという趣旨の返答となる場合が多いでしょう。
次に、クライアントの主張が認められる可能性が高いと判明した場合には、まずは、自分のビジネスをクライアントのビジネス(権利)を侵害しないものに変更できないか検討する必要があります。変更が可能であれば、ビジネスの差し止め請求をされる恐れがなくなり、損害賠償の話だけになるため、交渉が比較的容易になる可能性があります。
他方、変更が困難な場合には、ビジネスの差し止め請求を受ける恐れもあり、交渉の立場上不利になるため、ビジネスの中止ないし損害の賠償の可否・金額等を具体的に検討する必要が生じます。
クライアントの主張が認められる可能性が低いと判明した場合には、クライアントの主張に対し争うことも考えられます。その場合には、まず書面で自分の主張を相手に伝えるとともに、並行して、クライアントに対する「武器」(主張や交渉の材料)がないか並行して検討することも有効です。いずれにせよ、弁護士等の専門家の意見を聞き、対応策を検討するのが必須になるでしょう。