経営お役立ちコラム

2021.03.19 【契約】

中小事業者等への「しわ寄せ」問題等に関する
Q&A集
クライアントから商品の購入強制・役務の利用強制を受けた場合の対応方法

弁護士 間嶋 修平

Q
冷凍食品メーカーであるA社(資本金1億5000万円)は、冷凍食品の加工をB社(資本金1000万円)に委託しているところ、自社製品の販促キャンペーンを実施するに当たり、購買・外注担当者を通じてB社に自社製品の購入を繰り返し要請しています。B社としては、どのように対応すればよいでしょうか。
A
A社の行為は、下請法で禁止される購入・利用強制に該当するため、B社としては、下請法違反を主張し任意の交渉を行うほか、A社が交渉に応じない場合には、公正取引委員会、中小企業庁や各経済産業局その他相談窓口に調査・指導を求め相談することが考えられます。

(解説)

  1. A社が自社製品の購入をB社に強制することは、下請法4条1項6号等に違反する可能性があります。そのような場合、B社としては、どのように対応すべきでしょうか。
  2. 前提として、下請法の適用の有無は、①取引当事者の資本金又は出資の総額の区別(3億円超、1千万円超3億円以下、5千万円超、1千万円超5千万円以下)、②取引の内容(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託)の2つの側面から判断されます。
    まず②について、本件取引は、冷凍食品メーカーであるA社が業として行う販売の目的物である冷凍食品の加工をB社に委託することを内容とするため、「製造委託」に該当します(下請法2条1項)。
    次に①について、A社の資本金が1千万円超3億円以下、B社の資本金が1千万円以下ですので、それぞれ親事業者、下請事業者の要件を充たしています(下請法2条7項2号、同条8項2号)。
    したがって、本件取引には下請法の適用がありますので、正当な理由がある場合を除き、A社がB社に自社製品の購入を強制することは下請法4条1項6号に違反することになります。
  3. 下請法4条1項6号で禁止される購入・利用強制に該当するか否かは、事実上下請事業者に親事業者の指定する製品等(自社製品を含みます。)の購入等を余儀なくさせているか否かによって判断されます。そのため、親事業者としては任意に購入等を依頼しているつもりでも下請事業者にとって事実上その依頼を拒否できない場合などは、購入・利用強制に該当する可能性があります。購入・利用強制の対象としては、「物」に限られず、保険、リース、インターネットプロバイダ等の「サービス」も含まれます。
    本件において、B社としては、仮にA社の要請を断れば、A社との取引を失う可能性がある状況で、購買・外注担当者という取引に影響を及ぼす者を通じて要請を受ければ、実質的に選択の余地はなく、最終的にはA社の要請を受け入れることを余儀なくされていると考えることができます。したがって、本件におけるA社の行為は、自社製品の購入を強制するものとして、下請法4条1項6号に違反することになります。
    よって、B社としては、A社の行為が下請法4条1項6号に違反することを指摘した上で、製品の購入を拒否するなど任意の交渉を行うほか、A社が交渉に応じない場合には、調査・指導を求めて、公正取引委員会、中小企業庁や各経済産業局その他相談窓口へ相談することを検討することが考えられます。
  4. また、本件と異なり、下請法の適用がない場合であっても、A社の自社製品の購入をB社に強制する行為は、優越的地位の濫用(独占禁止法2条9項5号イ)を理由とする独占禁止法違反が認められる可能性がありますので、参考にしてみてください。
  5. 以上のとおり、購入・利用強制への対応方法は種々考えられます。下請事業者としては、購入等の要請を安易に受け入れるのではなく、不要なものについては、きちんと購入等をする意思がないことを表明することが大切です。
東京弁護士会 中小企業法律支援センター
https://www.toben.or.jp/form/chusho1.html

公正取引委員会・下請法に関する相談・申告等窓口
https://www.jftc.go.jp/shitauke/madoguti.html

中小企業庁・申告情報受付窓口(下請取引)
https://www.shinkoku.go.jp/shinkoku/menu