経営お役立ちコラム

2021.10.29 【労務】

同一労働・同一賃金に関する
Q&A集
「同一労働同一賃金」とは何ですか。

弁護士 古賀 聡

Q
「同一労働同一賃金」とは何ですか。
A
「同一労働同一賃金」とは、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

(解説)

  1. 「同一労働同一賃金」とは、平成30年6月に成立した働き方改革関連法の一部で、労働契約法、いわゆる旧パート法、労働者派遣法が改正されたものです。
  2. 「同一労働同一賃金」という言葉からすると、「同一の労働には同一の賃金を支払わなければならない。」という原則を定めたものと思われがちですが、この理解は正確ではありません。
    厚生労働省のウェブサイトをみると、
    同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
    との記載があるとおり、
    1. (1) 正社員と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇の相違
    2. (2) 一定の要件の下での正社員と非正規雇用労働者の間の待遇の相違自体
    を禁止したにすぎません。((1)を「均衡待遇」、(2)を「均等待遇」といいます。)
    正社員と非正規雇用労働者が同一の労働をしている場合に限定されませんし、また、賃金だけではなく、あらゆる待遇の差異が規制対象となっています。
  3. では、そもそも、どのような理由で「同一労働同一賃金」が導入されることになったのでしょうか。この点も厚生労働省のウェブサイトを参照すると、
    同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにします。
    との記載があります。
    日本では、非正規雇用労働者が増加する中で、正社員と非正規雇用労働者の待遇には大きな差異があるのが通常であったところ、その差異を是正・解消することで、非正規雇用労働者の勤労意欲を増進し、労働生産性を向上させ、ひいては、日本経済を活性化させることが「同一労働同一賃金」の狙いです。
  4. なお、「同一労働同一賃金」には、上記の不合理な待遇差の解消の他、労働者に対する待遇に関する説明義務の強化や行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備等といった内容がありますが、詳しくは他の記事でご説明いたします。

    以上の記事に関するご不明点、同一労働同一賃金を含む働き方改革への対応その他労務問題に関するご相談は、中小企業・個人事業主の法的支援を扱う「東京弁護士会中小企業法律支援センター」の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。