経営お役立ちコラム

2022.08.16 【SDGs】

ビジネスと人権とSDGsとはどのような関係があるのでしょうか。

弁護士 上田 孝明

Q
ビジネスと人権とSDGsとはどのような関係があるのでしょうか。
A
人権侵害の防止や環境対策など、人権を尊重するビジネスが行われることが、SDGsとして掲げられている目標の達成に必要不可欠なものとなっています。ビジネスと人権とSDGsは一本の糸で繋がった関係にあります。

(解説)

「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、「指導原則」といいます)では、「人権を尊重する企業の責任」を掲げています。
一方、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)では、貧困、気候問題、人種問題など地球規模の人権課題や社会課題を解決するために、17のゴール(目標)と169のターゲットが設定されています。

民間企業の活動それ自体が、イノベーション(目標⑨)、経済成長や雇用創出(目標⑧)等、SDGsの達成に必要不可欠なものとなっています。また、指導原則に示された企業の人権尊重責任を果たすためには、性差別の解消(目標⑤)や、環境への悪影響を防止する(目標⑬)対策等を行う必要がありますが、これはまさに人権保障を中核とするSDGsの実践となります。人権を尊重するビジネスはSDGsの達成に必要不可欠であり、ビジネスと人権とSDGsとは、一本の糸で繋がった関係にあるといえます。

また、ビジネスと人権を遵守し、SDGsを実践する経営は、企業に新たなチャンスをもたらすものです。雇用における性差別の解消(目標⑤)は、有力な人材の獲得・活用につながります。安全な水を確保するための設備の拡販(目標⑥)等により、新たな市場を開拓した例もあります。

以上の記事に関するご不明点、SDGsやビジネスと人権に関するご相談は、中小企業・個人事業主の法的支援を扱う「東京弁護士会中小企業法律支援センター」の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

ご利用にあたって

各記事は執筆時点のものであり、記事内容およびリンクについてはその後の法改正などは反映しておりません。