経営お役立ちコラム

2020.10.01 【会社経営】

ストック・オプションの基本(上)(仕組みを教えて!)

弁護士 門倉 洋平

ストック・オプションは役員や従業員等に対し、インセンティブ報酬等として付与される権利であり、通常は新株予約権(会社に対して行使することにより会社の株式を取得することができる権利)を交付することにより付与されます。この場合、基本的には、株式を安く(行使価額で)取得し、高く(通常は株式市場において市場価格で)売却することにより利益が生じることを予定しています。
中小企業でも、株式市場への上場を想定し、ストック・オプションが利用されることがあります。
ここでは、ストック・オプションの基本的な仕組み(新株予約権の付与→新株予約権の行使→株式の譲渡)を解説していきます。

Step1)新株予約権を付与する

例えば、会社がAさんに新株予約権10個を付与するとします。
有償発行(例えば、新株予約権1個につき発行価額1,000円)の場合、Aさんは会社に1万円(=1,000円/個×10個)を払込んで10個の新株予約権を取得します(※1)。

※1:新株予約権の発行価額は無償とすることもできます。無償の場合は、Aさんは会社へお金を払い込まずに新株予約権を取得することになります。インセンティブ報酬として付与する場合には、無償とされることも多く見受けられます(次回「ストック・オプションの基本(下)(「ゼイセイテキカク」って何?)」も参照)。

Step2)新株予約権を行使する

例えば、Aさんが新株予約権10個を行使するとします(※2)。
例えば、発行時に定めた行使価額が1株あたり3万円、新株予約権1個につき1株が交付される新株予約権であった場合、Aさんは会社に30万円(=3万円/株×1株/個×10個)を払い込んで10株の株式を取得します(※3)。

※2:行使できる期間および個数
行使できる期間や個数については、発行時に制限しておくこともできます。例えば、新株予約権の付与決議の日から2年を経過した日から10年を経過する日まで等と定めておくと、付与決議後2年間や付与決議後10年を経過した日以降は行使できません。他にも、会社の上場時に半分を行使することができ、残り半分については上場後1年を経過した時に行使することができる等、行使できる個数についても制限を加えておくことができます。
※3:新株予約権はオプション(選択肢の1つ)ですので、権利を行使しないことも可能です。

Step3)株式を譲渡する

例えば、Aさんが新株予約権の行使により取得した株式10株を1株あたり10万円で売却するとします。この場合、Aさんは付与を受けた新株予約権から正味で69万円(=売却価格10万円/株×10株-行使価額合計30万円-新株予約権の発行価額合計1万円)の利益を得たことになります。 新株予約権を行使したことにより取得した株式については、他人から売買によって取得した株式や新株予約権の行使以外による新株発行により取得した株式と同じように、売却や質入などの処分は自由に行えます(但し、譲渡制限が付された株式である場合には、その制限に従うことになります。)。