経営お役立ちコラム

2021.02.26 【新型コロナウイルス関連】

新型コロナウイルス対策に関するQ&A(事業の継続・再生とその見極め)

Q1
コロナ禍により売上が急落し、緊急融資を受けて資金繰りは一息ついていますが、コロナが収束しないためか売上が思うように回復せず、事業をどうしていくか悩んでいます。どのような選択肢があるのでしょうか。
A
大きく分けると、事業を継続するか、やめるかです。事業を継続する場合、今の社長(経営者)が続投するパターンと、身内(親族、社員・役員)又は第三者(「M&A」)に承継させるパターンがあります。事業をやめる場合、通常清算(廃業)と倒産手続により清算するパターンがあります。
Q2
コロナ禍で経営状況が厳しくなっている中で、事業を続けていくための見極めのポイントを教えてください。
A
①経営者に意欲・覚悟・余力があるか、②最低でも約定金利を支払えるだけの営業利益を上げられるか、③関係者の理解・協力・支援を得られるか、がポイントになります。経営者が高齢化しているのであれば、コロナ禍による環境の激変という状況下では、次世代の後継者に事業を託して、新しい発想で事業の強みを活かしてもらうこともなるべく早めに検討することも考えられます。
Q3
長年オーナー社長でしたが、コロナ禍により業績が厳しくなり、このまま社長を続けていくのは無理だと感じるようになりました。ただ、身内や会社内には後継者がおらず、事業をどうすればよいか悩んでいます。よい方法がないか教えてください。
A
事業の第三者承継(M&A)という手法があります。事業を生きたまま、資産・雇用関係・取引関係などを一体として、第三者に承継する方法です。かつては、「身売りする」というマイナスイメージがありましたが、最近は、取引先や従業員に迷惑を掛けず、経営者自身も役員退職金を得たり保証債務の免除を得るというメリットもあり得るので、有力な方法として多く活用されています。詳しくは「◆ 第三者承継(M&A)」をご参照ください。
Q4
コロナ禍で経営状況が厳しく、オーナー社長として事業をどのようにしていくか悩んでいますが、どのようなことを心がけておくべきでしょうか。
A
事業を続けていくのであれば、①事業を最優先する覚悟を持つこと、②経営責任を問われ私財の提供もあり得ること、③会社の置かれている状況を客観的に認識すること、④自社の強みを意識しつつ、視野を広げて発想を転換できること、⑤精神的肉体的に余力があること、などが経営者には求められます。
しかしながら、この新型コロナ下で環境が激変する中で、今後の見通しがつきにくく、自らの経営者としての余力が続かないと自覚するのであれば、自力で事業を継続することを再考する必要があるかもしれません。その場合には、後継候補者がいれば事業承継を進める、後継候補者がいない場合でも第三者承継(M&A)や廃業なども選択肢として検討すべきです。時間が経つと選択肢が狭まってしまうので、検討はなるべく早くすることが肝心です。弁護士、税理士、公認会計士等の信頼できる専門家の助言を得るのがよいでしょう。
Q5
元々経営状況は順調であり、コロナ禍で売上は落ち込んだものの、事業は何としてでも続けていきたいと思っています。今後、経営上どのようなことを心がけておくべきでしょうか。
A
短期的には、資金繰りを持たせることが最重要です。お金が尽きなければ倒産はしません。日繰り表などを作成して自社の資金繰り(現状ならいつ頃資金ショートしてしまうか)を適確に把握し、支出を洗い出して最低限に抑えます。また、公的機関による融資を受けたり遊休資産を売却して、手元資金を確保します。それでも資金繰りが厳しい場合には、金融機関への元本返済、事務所や店舗の賃料、公租公課(税金や社会保険料)の支払猶予も検討せざるをえません。
中長期的には、営業利益を最低限約定金利が支払える程度に確保することを目指すことです。月次の損益計算書や資金繰り表を作成して、数値をきちんと把握しておくことが大切です。自社の強みを認識して、それを活かせるように機会を探索していくことが重要です。中小機構の「事業価値を高めるレポート」に書き込んでみて、自社の特徴を洗い出してみることもお勧めします。
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/soft_asset1/index.html
Q6
元々経営状況は順調であり、コロナ禍で売上は落ち込んだものの、事業は何としてでも続けていきたいと思っています。今後、経営上どのようなことを心がけておくべきでしょうか。
A
まず大切なのは、事業承継においては、承継を機に経営者(社長)自身が身を引いて、全てを後継者に委ねたほうがうまく行きやすいと言われることです。中途半端に前社長が経営に口を出すと、社内に混乱が生じるリスクがあることに注意を払うべきでしょう。
後継候補者が親族である場合、承継のために数年かそれ以上の準備期間を確保して、じっくりと取り組むのが理想です。後継候補者の経営者としての適性、姿勢、意欲なども見極めることができます。可能であれば、後継候補者には、子会社や事業部門などでトップとしての経験を積ませることをお勧めします。
さらに、経営環境の変化が激しい昨今では、後継候補者自身に、現経営者(社長)には無い独自の強みがあると良いでしょう。
Q7
長年オーナー社長として会社を経営していますが、最近は高齢のためか体調も芳しくなく、以前から古参の役員に社長職を譲ろうと考えています。経営面で留意すべきことを教えてください。
A
元から会社にいる役員・従業員は事業内容を熟知していて社風にもなじんでいますので、事業の承継が比較的スムーズに進むことが多いと言われています。ただし、役員・社員と社長とでは、責任の重さや質が全く異なるので、経営者として事業を背負っていく覚悟を持ってもらう必要がありますし、準備期間を置いて子会社や事業部門などでトップとしての経験を積ませると良いでしょう。
Q8
長年オーナー社長として会社を経営し、お陰様でコロナ禍にあっても会社は黒字を維持できています。そろそろ息子に事業を譲りたいと考えていますが、金融機関に対する連帯保証債務まで息子に引き継がせるのには抵抗があります。保証を引き継がせないで事業を承継させる方法はあるのでしょうか。
A
2014年(平成26年)2月に策定・公表された「経営者保証に関するガイドライン」によれば、①法人と経営者との関係の明確な区分・分離、②財務基盤の強化(法人の資産・収益力で借入返済が可能と判断しうる)、③適時適切な情報開示等による経営の透明性確保(金融機関が財務状況を正確に把握できる)、がなされていれば、金融機関との協議により、事業承継にあたり、後継者に保証債務を引き継がせない取扱いができる可能性が高くなります。
事業承継にあたり、経営者保証を不要として信用保証協会付融資を受けられる新たな信用保証制度(事業承継特別保証制度)が創設されましたので、詳しくは下記の中小企業庁の「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」をご参照ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/hosyoukaijo/index.htm
また、2019年(令和元年)12月に「事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則」が策定・公表され、事業承継後も前経営者との保証契約を解除せずに、新経営者(後継者)との保証契約を締結するという、いわゆる「二重徴求」は原則として求めないこととされました。「二重徴求」をしようとする金融機関があれば、その旨を指摘すべきでしょう。
Q9
私がオーナー社長として経営している会社は、営業黒字ではあるのですが、金融機関からの借入が大きく、現状でも完済するのに50年以上はかかってしまいます。息子が社長の後継者候補なのですが、借入金や保証債務までは負担させたくありません。どのようにすればよいのでしょうか。
A
金融機関から事業を生かしたまま債務免除を受けるためには、金融機関との協議が重要であり、中小企業再生支援協議会や特定調停などの第三者機関による調整が不可欠となります。事業再生に通じた弁護士に相談することをお勧めします。