経営お役立ちコラム
2019.07.08 【労務】
2015年改正で労働者派遣法はどのように変わったか(その1)
- 中小企業向けアプリ「ポケ弁」にて配信した執筆時点のものであり、記事内容およびリンクについてはその後の法改正などは反映しておりません。
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2015年の労働者派遣法改正では、①すべての労働者派遣事業が許可制に一本化され、②労働者派遣の期間制限が変更されました。また、③派遣元事業主と派遣先に対して、派遣労働者の雇用の安定やキャリアアップを図るための措置を講ずる義務や努力義務が設けられ、派遣労働者の待遇改善のための責務などが拡充されました。また、④労働契約申込みみなし制度が施行されました。
改正点のポイント
本改正では、従来の、特定労働者派遣事業かそれ以外かという区別は廃止され、すべての労働者派遣事業につき、厚生労働大臣の許可が必要となりました。
ただし、改正法施行時点(2015年9月30日)で、すでに届出をして事業を行っていた特定労働者派遣事業の事業主については、施行日から3年間、つまり2018年9月29日までは、許可を取得しなくても特定労働者派遣事業を継続することができます。
労働者派遣の期間制限の変更
いわゆる「26業務」か否かを基準とする従前のルールは廃止され、すべての業務につき、①派遣労働者個人単位の期間制限と、②派遣事業所単位の期間制限という新たな基準が設けられました。
①個人単位の期間制限とは、一人の派遣労働者を、3年を超える期間継続して、同一の組織単位ごとの業務に受け入れてはならないというものです。
例えば、派遣労働者Aさんが、3年間、庶務課で働いた場合、Aさんを今後同じ庶務課で継続して受け入れることはできませんが、企画課など別の課で働いてもらうことは可能です。
②事業所単位の期間制限とは、派遣先は、同一の事業所等では、原則として、派遣元事業主から3年を超えて継続して派遣労働者を受け入れることはできないというものです。ただし、当該事業所の過半数労働組合等の意見聴取による期間延長の手続きを取ってさらに3年間延長することが可能です。
具体例
例えば、○○支店などの同一の事業所で、3年間、派遣労働者Aさんを受け入れた場合、同じ支店で派遣労働者を継続して受け入れることは、原則としてできませんが、上記所定の期間延長手続きが取られていれば、派遣労働者Bさんを同じ支店で受け入れることが可能です。