経営お役立ちコラム
2019.09.16 【契約】
親事業者から下請事業者に対する納品物の引取請求について教えて下さい。
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本来相互の信頼関係に基づき公正であるべき親事業者と下請事業者との取引において、取引上優越した立場にある親事業者が下請代金の支払いを遅らせたり、下請代金を値引かせたりする等の不当な要求をすることがあります。このような親事業者の不当な行為から下請事業者の利益を守るための法律が下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます)です。下請法では、親事業者の義務及び禁止行為を明確にして、公正取引委員会等に親事業者に対する調査権限を与えるとともに、下請法を遵守しない親事業者に対しては改善指導を行うことになっています
下請事業者に責任がない限り、親事業者は納品物の引取りを請求できません。
下請法では、親事業者が、下請事業者に責任がないのに、下請事業者から納品された物品等を受領した後に、下請事業者にその物品等を引き取らせることはできません(下請法4条1項4号)。下請事業者に責任がある場合とは、①下請事業者の納品物等が委託した内容と異なる場合、及び、②下請事業者の給付に瑕疵がある場合、③納期に行われない場合です。但し、下請事業者に責任がある場合であっても、返品できる期間は限られています。①通常の検査で直ちに発見できる瑕疵等の場合、発見次第すみやかに返品しなければなりません。②通常の検査で直ちに発見できない瑕疵等で、ある程度の期間経過後に発見された瑕疵の場合、受領後6ヶ月以内に返品しなければなりません。
下請事業者に責任がないのに、親事業者が納品物の引取りを求めてきた場合
下請事業者としては、まず、親事業者に納品物の引取りを求める行為が下請法に違反することを告げ、引取りを拒絶すべきです。それでも親事業者が納品物の引取りを求める場合には、公正取引委員会に報告して、親事業者に対する調査・検査を行ってもらい、違反事実に対して勧告や指導等を行ってもらうことができます。公正取引員会の下請法違反についての報告の受付は下記をご参照下さい。
公正取引委員会:下請法違反についての報告受付
https://www.jftc.go.jp/shitauke_shinkoku/apply-001.php