経営お役立ちコラム

2025.10.29 【経営危機Q&A】

資金繰りに関するQ&A

Q1.
業績悪化により資金繰りが苦しいです。事業を続けていくために、最も留意すべき点はどのようなことですか。
A1.
まず、資金を切らさないことです。業況が回復するまで、資金ショートしないようにしなければなりません。 そのために必要なことは大きく3つあります。
  1. ① 資金面での現状を把握する(以下Q2・3をご参照)
  2. ② 支出(キャッシュアウト)を抑える(以下Q4~8をご参照)
  3. ③ 入金(キャッシュイン)を増やす(以下Q9~11をご参照)
資金繰りは単純で、入ってくるお金を増やして、出ていくお金を減らせば、必ず手元にお金が貯まります。ただし、そのためには、資金繰りの状況を「見える化」しておく必要があります。
Q2.
資金繰りの現状を把握して、「見える化」するためには、資金繰り表(日繰り表)は必要でしょうか。
A2.
資金繰り表(日繰り表)は、必ず作ることをお勧めします。資金繰り表を作る目的は、次の点です。
  • * 現状で売上が上がらなければいつ資金ショートするのか、どれだけの額の融資を受ければどれだけの期間資金が持つのかが分かる。
  • * 支出の中でも、不要であるとしてカットすべきもの、相手との協議により猶予を求められそうなものが洗い出せる。
Q3.
資金繰り表(日繰り表)の作り方を教えてください。
A3.
ポイントとしては、次の点に留意するとよいでしょう。
  • * 支出の項目を細かく分けて記入する。
  • * 1日の終わりにどれだけ残高があるかを明記する。
  • * 入金は堅めに、支出は漏れなく記入する。
資金繰りは単純で、入ってくるお金を増やして、出ていくお金を減らせば、必ず手元にお金が貯まります。ただし、そのためには、資金繰りの状況を「見える化」しておく必要があります。
Q4.
支出(キャッシュアウト)を抑えることの重要性を確認させてください。
A4.
次に述べるような理由で、この厳しい状況の中で、支出(キャッシュアウト)の抑制は、まず一番に取り組まなければなりません。
  • *入金(売上収入や融資など)は相手次第で自分でコントロールできないが、支出は自分でコントロールできる。
  • *金融機関からの融資が受けられるかどうかは審査次第である。
Q5.
資金繰りが厳しいので、金融機関に対して、条件変更や元利金の返済猶予(リスケジュール)を求めたいのですが、どのようにすればよいのでしょうか。
A5.
まず、借り手の事業者の側から、金融機関に申入れをする必要があります。
金融機関が複数ある場合には、全ての金融機関に申入れをする必要があります。順番はメインバンクを先にするとスムーズです。
通常のリスケジュールでは、元本を全て猶予できても、約定利息(金利)は支払わなければならないのですが、金利の支払いも猶予できる可能性があるので、交渉してみるとよいでしょう。
リスケジュールの内容としては、6カ月程度元本を据置して一括返済の約定を交わして、返済能力の回復を待つというパターンが多いですが、自社の状況に応じて、金融機関とよく協議をしてみましょう。
Q6.
取引金融機関の数が多く、リスケジュールの交渉に自信がありません。どうすればよいでしょうか。
A6.
弁護士は金融機関交渉の代理人となることができるので、事業再生に精通した弁護士にご相談するのがよいでしょう。
当センターは、事案に解決に適した弁護士を紹介できます。
電話(03-3581-8977 平日10時~16時受付)か、
ウェブ(https://www.toben.or.jp/form/chusho1.html)でお気軽にお申込みください。
Q7.
社員の給料が固定費の中でも大きなウェイトを占めているため、減らしたいと考えていますが、何か方法はないでしょうか。
A7.
勤務時間を短縮して給料を減らしたり、給料の支払いの猶予を受けるためには、社員の同意が必要ですから、その理解を求める必要があります。
社員の生活やモチベーションの維持を考えると、一般的には慎重に判断した方がよいと思われます。
Q8.
それ以外にも、支出を抑えたり、支払いの猶予を求めるべきしょうか。
A8.
いつ業績が回復するか見えない現状において、1円でもお金を貯められるように、不断に努力すべきです。
Q3で述べた日繰り表を作成するなどして、支出を細かく洗い出したら、不要不急な支出を選別してカットしましょう。

取引先でも、支払いを猶予してくれそうな先があれば、お願いすることを考えてみましょう。
Q9.
新規融資を積極的に受けるべきなのでしょうか。
A9.
固定費を抑える等して資金が枯渇しないように凌いで、売上回復を目指すことができます。
事業を続けることに意欲的で、今後、売上を一定程度回復できる見込みがあれば、新規融資を積極的に検討すべきでしょう。
他方、赤字続きで業績は芳しくなく、黒字に転じられる見通しが立てられないような場合は、いたずらに新規融資にこだわることなく、事業の整理など別の方法を考えた方がよいかもしれません。
自社の方向性について悩んだり迷っている場合には、事業再生に精通した弁護士にご相談することをお勧めします。

当センターは、事案に解決に適した弁護士を紹介できますので、
電話(03-3581-8977 平日10時~16時受付)か、
ウェブ(https://www.toben.or.jp/form/chusho1.html)でお気軽にお申込みください。
Q10.
新規融資を受ける上でのポイントを教えてください。
A10.
  • * まず、金融機関や信用保証協会による審査があるので、新規融資を受けられるかどうか、受けられるとしてもその条件は、審査次第です。
  • * 融資が受けられるのは3カ月分の月商・月額運転資金が多いと言われているようですが、例えば6カ月分から1年の月商・月額運転資金など、多めに申告することも考えられます。
Q11.
当社は既に取引金融機関から元本返済猶予(リスケジュール)を受けているのですが、新規に融資を受けることは可能なのでしょうか。
A11.
リスケ中ということは、それだけ業績を厳しく評価されがちなので、現実問題としては、審査が通りにくくなる面は否定できません。融資を受けたいのであれば、例えば、業態転換等により売上の急落を防ぐ策がある等、返済の見通しがある根拠を具体的に示して、粘り強く交渉する姿勢が大切でしょう。
Q12.
私の会社はリスケ中で金融機関の理解の下で再建に取り組んでいますが、新規の融資を取引金融機関に求めたところ、リスケ中ということを理由に渋っています。現状では資金調達ができないと数か月後には資金ショートが迫っています。どうすればよいでしょうか。
A1.
金融機関との交渉や、今後の方向性の検討に関しては、事業再生に精通した弁護士にご相談することをお勧めします。
当センターは、事案に解決に適した弁護士を紹介できますので、
電話(03-3581-8977 平日10時~16時受付)か、
ウェブ(https://www.toben.or.jp/form/chusho1.html)でお気軽にお申込みください。

金融機関には、返済の見通しがあることを粘り強く説明して融資を求めながら、これまで述べたとおり、支出抑制策や助成金の活用によってキャッシュの流出を極力抑えつつ、業態やサービスを転換する等により、売上が下がっても一定の収入は確保できるように努めるべきでしょう。
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