経営お役立ちコラム

2025.10.30 【SDGs】

中小企業と環境・地域社会
-SDGsの目標・尊重される人権と法令遵守事項-

弁護士 原田 総康

1 環境に関するSDGsの目標・尊重されるべき人権

  1. (1) 企業は、その周辺地域、地球の環境が維持されてこそ、持続的に経済活動を行っていくことができます。
    現在、有害物質による空気や水、土壌の汚染、オゾン層の破壊、温室効果ガスによる気候変動、プラスチックごみによる海洋汚染、森林伐採等による生態系の破壊など、世界全体で様々な環境問題が発生・進行しています。
    これらは地球規模の課題となっており、大企業だけではなく、中小企業も積極的に環境問題に取り組んでいかなければ、これを解決することはできません。
  2. (2) 尊重されるべき人権として、特定の環境を享受することを人権として直接規定したものはありませんが、国際人権規約には、自然環境に関連する規定が定められています(A規約第11条、B規約第6条)。
    また、憲法第13条において「すべて国民は、個人として尊重される」と定められていることや、同第25条において「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定められていることが、環境に関する人権の根拠となります。
  3. (3)環境問題に積極的に取り組むことは、経営の負担につながるだけという印象があるかもしれませんが、様々なメリットがあります。
    例えば、環境問題に関する社会全体の意識の高まりにより、人権、環境問題に意識した製品やサービスがますます選ばれる傾向にあり、これらに配慮した事業活動を行うことは、他社との差異化を図ることができます。

2 環境問題に関する法規制(法令遵守事項)

  1. (1) 日本における環境規制の基本となる法律として、環境基本法があります。この法律は、1993年に制定され、環境の保全に関する基本的な理念や国、事業者等の責務について規定されています。
  2. (2) 現在、環境問題に関しては、様々な法規制があります。企業が法律上遵守すべき環境に関する主な規定としては以下がありますが、環境問題の発生・進行に応じて今後も増えていくものと予想されます。
    1. ① 廃棄物の管理、処理に関する法規制、リサイクルに関する法規制
    2. ② 有害化学物質の管理に関する法規制
    3. ③ 大気汚染防止、空気に関する法規制
    4. ④ 水質汚染防止に関する法規制
    5. ⑤ 土壌汚染防止に関する法規制
    6. ⑥ 地球温暖化対策の推進に関する法規制
    7. ⑦ 騒音・振動防止に関する法規制

3 最後に

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