経営お役立ちコラム

2025.03.13 【SDGs】

SDGsコンプライアンスとその取組み

弁護士 松木 裕

1 SDGsコンプライアンスとは

令和6年2月、中小企業法律支援センターSDGs PTのメンバーによって、「人が集まり選ばれる会社をつくる!実践 中小企業のためのSDGsコンプライアンス」を発刊しました。 中小企業でもサスティナビリティ課題の解決のためにSDGsやビジネスと人権に取り組むことが要請されていることは、すでにご説明したとおりですが(SDGsはこちら、ビジネスと人権はこちらをご参照ください)、その取組方法として、世界的な課題を解決するために、イノベーションを生み出していくことだけではなく、コンプライアンスの遵守を通じて企業の持続的な成長・発展に繋げる視点があります。本書籍では、コンプライアンス遵守を通じて企業の持続的な成長・発展に取り組み、SDG、ビジネスと人権といったサスティナビリティに貢献していくことを「SDGsコンプライアンス」と定義して提案し、その具体的な取組方法等を解説しています。

2 SDGsコンプライアンスの取組み

SDGsもビジネスと人権に関する指導原則も、いずれも個人の尊厳原理に基づき人権を尊重することを根本原理としています。人権というと身近に感じないかもしれませんが、法令は、個人の尊厳を守り、他者の人権との調和・調整を図るために制定されているものであって、実は身近な法律を遵守すること、すなわちコンプライアンスを遵守することこそ、SDGsやビジネスと人権の取組みに直接的に繋がります。 そのため、企業においては、まずは法令を遵守することが優先されるべきで、自社に適用される法令が遵守されているか徹底的に調べていくことが重要です。その際、SDGsの目標とターゲットを理解し、ステークホルダー(自社の利害関係者)毎に検討して、人権侵害の可能性・程度・結果等を評価し、改善するという方法が有効でしょう。 また、SDGsは法令遵守のみならず、それを超えてステークホルダーのウェルビーイング(幸福)を実現することを求めています。そのため、SDGsコンプライアンスを実施していく際には、第一義的に法令を遵守するのみならず、自主的にステークホルダーのウェルビーイングのための課題(自主的取組事項)を設定して取り組むことも重要です。 このように、SDGsコンプライアンスの取組みは、法令遵守事項と自主的取組事項に区分けでき、本書籍ではかかる視点に基づきステークホルダー毎の法令遵守事項・自主的取組事項を解説しています。

3 法令遵守事項と自主的取組事項について

今後、本特集記事内で、ステークホルダー毎にSDGsの目標・尊重される人権をご説明しつつ、法令遵守事項と自主的取組事項の概要をご紹介する予定ですので、是非ご参考ください。更に詳細なことを知りたい方は、本書籍をご購読いただくか、中小企業・個人事業主の法的支援を扱う「東京弁護士会中小企業法律支援センター」の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

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